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水資源

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水リスク評価

水資源

方針

明電グループは、地球環境保全や持続可能な社会の実現に向けて、水資源の効率的利用による水資源保全活動の推進ならびに事業活動に影響を及ぼす水リスク対策に取り組んでいきます。

また、事業を通じて水資源の保全にかかわる様々な社会課題の解決に貢献していきます。

計画・目標

明電グループは、サステナビリティ経営を推進するための中長期的な「環境ビジョン」の中で、「水の循環活用推進」と「水の安全」を掲げています。節水、雨水の有効活用等の効率的利用による水資源保全活動の推進及び渇水、洪水、汚染等の水リスク対策、衛生状態の改善に取り組んでいきます。2024年度から国内主要生産4拠点(沼津、太田、名古屋、甲府)に対し、取水量の削減目標を設定し、削減活動を展開しています。

国内取水量の削減目標(国内主要4拠点)
2023年度 2024年度 2025年度 2026年度 2027年度
目標 2023年度比 1%減 2023年度比 3%減 2023年度比 5%減 2023年度比 7%減
実績(千m3 1,676 1,682
2023年度比 +0.4%

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リスク評価

水リスク評価

明電グループでは、節水や排水基準の遵守などの取組みのため、水リスクに関する評価を実施しています。世界自然保護基金が提供している水リスク評価ツール「Water Risk Filter」を用いた生産拠点(9か国、15拠点)を対象とした評価では、国内拠点は一般的なリスク値以内にとどまるものの、海外拠点の半数以上が高リスク地域にあり、特に水量及び水質の確保にかかわるリスクが高いことがわかりました。中でもインド(アンドラ・プラデーシュ)と中国(鄭州)は非常に高いリスクの地域に指定されており、評価結果を踏まえて拠点ごとに最適な対策を実施していきます。

生産拠点が所在する地域の水リスク評価結果(2025年5月現在)

生産拠点が所在する地域の水リスク評価結果(2025年5月現在)
水リスク別の生産拠点割合及び取水量割合
拠点数 売上高割合 取水量(千m3 取水量割合
非常に高いリスク(4.21~5.0) 2 3.0% 48 2.7%
高リスク(3.41~4.2) 2 3.4% 18 1.0%
一般的なリスク(2.61~3.4) 7 81.5% 1,706 95.2%
低リスク(1.81~2.6) 4 12.0% 20 1.1%
非常に低いリスク(1.0~1.8) 0 0% 0 0%

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株式会社明電舎 広報・IR部 広報・IR課

水使用量の削減

実績・データ

取水量の推移

水源別取水量(国内)
2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
地下水(千m3 1,626 1,344 1,728 1,552 1,595 1,608
工業用水(千m3 70 87 43 22 27 26
上水(千m3 62 59 62 69 70 65
再利用水 0 0 0 0 0 0
合計(千m3 1,758 1,490 1,833 1,643 1,692 1,698

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  • 2021年度に精度向上を目的に測定点を変更したため、2020年度以前と連続性がありません。

拠点別取水量(国内)

拠点別取水量(国内)

国内・海外別取水量(グループ連結)

  • 海外は参考値
国内・海外別取水量(グループ連結)

排水量の推移

各事業所・関係会社では、法規制よりも厳しい自主基準を設定し運用することで、法令遵守を確実なものにしています。

排出先別排水量(国内)
排水先 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
淡水の地表水(千m3
河川及び湖沼への直接放流
2,189 2,273 2,242 1,421 1,527 1,781
汽水の地表水/海水(千m3
海水と淡水の 混合 による低塩分の水(汽水)及び海水への直接放流
0 0 0 0 0 0
地下水(千m3
地下への直接排水
0 0 0 0 0 0
第三者の放流先(千m3
下水道及び産業廃棄物処理業者による排水
10 15 16 20 32 29
合計(千m3 2,199 2,288 2,258 1,441 1,559 1,810

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拠点別排水量(国内)

拠点別排水量(国内)

国内・海外別排水量(グループ連結)

国内・海外別排水量(グループ連結)
  • 海外は参考値
  • 2022年度以降、海外拠点の排水データを収集開始
水質データの推移(国内)
2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
BOD 4,843 kg 6,424 kg 6,408 kg 4,474 kg 5,344 kg 5,241 kg

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第三者検証

明電グループは、毎年、取水量及び排水量の環境データに対し、第三者検証を実施しています。

2023年度の国内取水量1,692千m3及び排水量1,559m3は、株式会社 日本環境認証機構(JACO)により、2024年8月29日付で、第三者検証が完了しています。

株式会社明電舎 広報・IR部 広報・IR課

水資源の保全と有効活用に向けて

取組み

水資源の保全と有効活用に向けて

国内生産拠点における水インフラ設備の再構築

明電グループは、創業から125年以上が経ち、国内生産拠点のインフラ設備の老朽化が顕著になっています。

特に水インフラ設備は老朽化が著しく、BCPの観点からも優先順位を上げて再構築を実施しています。

国内主要生産拠点である沼津事業所は、2024年から大型合併浄化槽の新設に着工し、2026年4月に稼働開始予定です。また、2026年から給水配管の地上化を計画しています。同じく国内主要生産拠点である名古屋事業所は、2026年に合併浄化槽を新設すべく、検討中です。太田事業所についても、同様に老朽化が進んでおりますので、計画・実施していきます。

【水インフラ設備再構築の概要】

  1. (1)単独浄化槽撤廃による浄化槽法の順守及び排水水質の向上
  2. (2)埋設給水配管の共同プラント架構法による地上露出(漏水対策)
  3. (3)工程排水と雨水の切り離しによる排水処理量の計測制度向上及び水質の管理強化

事業を通じた水資源保全の取組み

明電グループは日本全国の上下水道の構築と発展に携わってきた実績をもとに、総合水処理メーカーとして水処理プラントの設計・製造・施工だけではなく、運営・維持管理までをトータルでサポートしています。中核事業の一つである水インフラシステム事業を通じて水資源の保全にかかわる様々な課題の解決に貢献していきます。

シンガポール公益事業庁トゥアス水再生センター工業排水MBRプラント向け
世界最大の処理能力97,500m3/日のセラミック平膜を受注

明電舎の海外現地法人 Meiden Singapore Pte. Ltd.(以下、明電シンガポール)は、シンガポール企業である Koh Brothers Building & Civil Engineering Contractor (Pte.) Ltd.より、シンガポール公益事業庁(以下、PUB)のトゥアス水再生センター工業排水 MBR※プラント向けのセラミック平膜を受注しました。このプロジェクトはシンガポール西部に新たに建設される水再生プラントで、2025年完成予定です。

明電シンガポールは、トゥアス水再生センター工業排水MBRプラントに、処理能力 97,500m3 /日のセラミック平膜を供給します。今回納入する明電舎製のセラミック平膜は省エネに貢献できるとともに、高耐久性、耐薬品性に優れ、長寿命という特長を持っています。

  • MBR: Membrane Bioreactor(膜分離活性汚泥法)の略称。下水や工場排水の浄化のために、処理水と活性汚泥の分離を従来の沈殿池のかわりに膜を使用し確実な固液分離を図る方法。

当社は、2010年にPUBと締結した水処理技術の共同開発に関する覚書(MOU)のもと、ジュロン水再生センターにて工業排水処理についての実証研究を進めてきました。2014年にはジュロン水再生センターにおいて 4,550m3 /日のデモプラントの運転を開始し、これまで再生が困難であった高濃度工業排水の再利用に成功しました。これらの実績と成果が PUBに認められ、今回トゥアス水再生センター工業排水MBRプラント向けセラミック平膜の受注につながりました。

トゥアス水再生センター完成予想図

トゥアス水再生センター完成予想図
©2021 PUB, Singapore’s National Water Agency

シンガポール公益事業庁 チェスナッツアベニュー浄水場向けに
世界最大となる処理能力291,200m3 /日のセラミック平膜を受注

明電舎の海外現地法人 Meiden Singapore Pte. Ltd.(以下、明電シンガポール)は、シンガポールの地場企業より、シンガポール公益事業庁(以下、PUB)のチェスナッツアベニュー浄水場・上水用膜処理プラント向けとなる処理能力291,200m3/日のセラミック平膜を受注しました。このプロジェクトは、これまで有機膜が用いられてきた既存浄水設備の更新工事であり、2026 年に完成予定です。

本プロジェクトで納入する当社製のセラミック平膜は、浸漬型膜としての特性を活かして既存水槽へ収納することで、設置コストを最小限に抑えます。また、セラミック平膜がもつ「優れた耐久性」「長寿命」「省エネ」といった特長を活かして、既存の有機膜と比較した際のランニングコスト(メンテナンス・膜交換費用)の節減を含む、高い経済性を実現します。

明電舎では、水の安定供給を国家の課題として抱えているシンガポールをセラミック平膜事業の中核拠点として位置づけており、シンガポール国内の様々な水処理プラントにおいて実証研究を進めてきました。今後も水資源の確保や水の安定供給に向けて協力していくことに加えて、シンガポール政府が取り組む「グローバル・ハイドロ・ハブ構想」への貢献も目指します。

■セラミック平膜について

セラミック平膜 外観
セラミック平膜 外観
セラミック平膜による汚水ろ過のイメージ断面図
セラミック平膜による汚水ろ過のイメージ断面図
  • セラミック平膜には肉眼では視認できないほど細かい穴が無数に開いており、汚水がその穴を通り抜ける際に不純物が濾過されます。
  • 厚さ6mm のセラミック平膜は中空構造となっており、内側の集水管を通してきれいなろ過水が集められます。

シンガポール公益事業庁 トゥアス海水淡水化プラントに
セラミック平膜を用いた前処理プロセスの実証プラントを建設

明電舎の海外現地法人Meiden Singapore Pte. Ltd.は、シンガポール公益事業庁のトゥアス海水淡水化プラントにセラミック平膜を用いた前処理プロセスの実証プラントを建設します。

この実証では、従来設備と比較し、省エネルギー化とあわせて、設備の省スペース化も期待されています。

トゥアス海水淡水化プラントは、逆浸透膜を用いた淡水化を行っています。その前処理となる不純物を取り除く工程にセラミック平膜を適用する今回の実証プラントは、トゥアス海水淡水化プラント内の既設加圧浮上設備を利用して設置されています。(処理能力:約32,000m3 /日)

セラミック平膜を用いた前処理プロセスの実証プラント

水資源の保全に関する研究開発

限りある水資源は、気候変動とともにグローバルな課題な一つに挙げられます。明電グループでは、持続可能なかたちで水を利用できるよう、世界各地での水問題の解決に貢献するべく、水インフラ事業やセラミック膜事業を展開し、研究開発にも積極的に投資をしています。

水インフラ・セラミック膜事業に関する研究開発費
単位 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
水インフラ・セラミック膜事業に関する研究開発費 百万円 1,026 1,075 1,035 1,153

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国土交通省B-DASHプロジェクト 人工知能(AI)による下水処理場運転操作の実規模実証完了

国土交通省B-DASHプロジェクト「AIを活用した下水処理場運転操作の先進的支援技術に関する実証事業」として、国土交通省国土技術政策総合研究所から委託を受け、運転操作の方針や池の状態などを判定するAI推論装置のほか、監視制御装置の各種データや水質分析結果などを一元管理する「AI推論システム」を広島市西部水資源再生センターと船橋市高瀬下水処理場で設置しました。熟練技術者が持つ運転操作技術をAI化することで溶存酸素(DO)設定やポリ塩化アルミニウム凝集剤(PAC)注入量設定等、熟練技術者が考える運転判断と80%以上一致しました。AIの運転診断を実運用した結果、処理水率が去年の運転を同様で安定することを実証しました。

また、本技術は2025年7月に国総研によりガイドライン化され、今後は国主体で革新的技術として全国展開される予定です。

遠隔監視装置 TELEMOT MT2の開発

TELEMOTシリーズは、社会インフラ向け遠隔監視装置として2005年に販売を開始し、昨年までに約3,400台を納入しています。昨年TEMEMOT MTの後継機種となるTELEMOT MT2を開発し、販売を開始しました。

TELEMOTシリーズは、先行機種と後継機種間で高い互換性を持たせています。クラウドや監視制御装置の遠隔監視端末装置として、定期的にTELEMOTを更新することで、長期にわたりクラウドや監視制御システムから利用できます。

また、TELEMOT MT2では最先端の通信方式への対応、入出力信号点数の大幅な拡張、ADCシリーズ(PLC)との通信機能の実装等によって最新の通信環境での利用や従来機で対応できなかった大・中規模施設での利用を実現しました。

新形セラミック平膜ユニットの浄水用設備等技術認定取得

当社は、国内外の浄水処理・下水処理・排水処理向けと幅広い分野に適用ができるセラミック平膜ユニットを製造しており、近年、新型ユニットを開発しました。

従来形ユニットは、セラミック平膜エレメントと膜ろ過水の集水管を直接接続することでチューブが不要となり、設置スペースの削減及び維持管理費の縮減ができます。

当社は、実際の河川水を原水として新形ユニットを用いた膜ろ過実証実験を行い、良好な膜ろ過水水質とともに安定した運転を達成したことで、2024年3月18日に(公財)水道技術研究センターから浄水用設備等技術認定を受領しました。

外部との協働

明電グループは、国内外のステークホルダーと連携しながら、SDGs(持続可能な開発目標)における Goal6「安全な水とトイレを世界に」やGoal14「海の豊かさを守ろう」などの課題解決に貢献するものづくりを追求し、持続可能な価値創造を実現するとともに、社会的課題の解決に取り組んでいきます。

イニシアチブへの参画

CDP(Water Security)

イニシアチブへの参画を通じて、水資源の効率的利用による水資源保全活動や事業活動に影響を及ぼす水リスク対策などを推進しています。

CDP Water Securityは、企業の水リスクに関するグローバルな情報開示システムを運営している国際的なNGOで、当社は2017年からCDP Water Securityの質問書へ回答をしています。

2024年に実施されたCDP Water Securityでは当社は「B」の評価を取得しています。

社外からの評価

明電舎は内閣官房水循環政策本部事務局より、水循環に資する取組を積極的に実施している企業として、「水循環ACTIVE 企業」の認証を2024年10月に受けました。

この認証制度は、企業による水循環に資する取組の更なる促進を図るために2024 年より開始され、取得した企業の価値向上に寄与します。今後も水循環に広く携わる企業として活動を続けていきます。

水循環ACTIVE
株式会社明電舎 広報・IR部 広報・IR課