お客様や社会の直面する課題が複雑さや不透明さを増す中で、企業競争力を強化していくためには、柔軟な発想や大胆な行動力を発揮し、課題解決につながる価値を創造できる人財の力が重要になります。そのため、優秀な人財の採用・育成に注力するとともに、一人ひとりが誇りを持ち、働きがいを実感できる職場環境を実現することで、持続的な成長につなげていきます。
従業員が持てる力を最大限発揮するためには、ダイバーシティ経営を推進し、多様な人財が心身ともに健康な状態で活躍できる職場づくりが重要になります。具体的には、ワーク・ライフ・バランスの実現や労働安全衛生の向上などをグループ全体として取り組むことで、グループ全体の企業価値向上を実現します。
年齢、性別、国籍、宗教、性的指向、障がい等といった属性に捉われず、多様な人財が能力を最大限に発揮して活躍できるような仕組みづくりに取り組んでいます。各階層に向けたダイバーシティ教育、キャリア形成できる人事処遇制度や評価制度を見直し、個性豊かな「個」が力を発揮できる環境づくりに力を入れています。
当社では、「プロフェッショナルの育成」をキーワードに、企業体質の改革・強化を目指して、役職・一般従業員とも成果にウエイトを置いた人事処遇制度とし、成果や役割で評価を行っています。そのため、成果が処遇に公平に反映されるよう、目標管理制度を導入しています。目標設定面談と目標管理実績面談を通じて、上司・部下の間で目標、成果指標などを相互確認し、期待される成果について食い違いが生じないよう話し合いを行っています。
また、社内イントラや労働組合発行の説明書で評価基準を開示するとともに、評価対象者すべてを対象に定期的に評価のフィードバック面談を実施し、個人の能力開発・育成にも力を入れています。公平な評価・処遇を行うためには、評価者の人事制度と評価時エラー防止に対する十分な理解と共に、上司・部下のコミュニケーションが不可欠であるため、新任管理職には、評価、面談の演習も加えた考課者教育を実施しています。
明電舎では、性別、年齢、国籍等にとらわれず、多様な人財が活躍できるダイバーシティ経営に積極的に取り組んでいます。日本政府のSDGs推進本部の「SDGsアクションプラン2020」にある「働き方改革の着実な実施」に重点を置き、従業員一人ひとりが個々の能力を最大限に発揮できるよう柔軟な勤務形態やさまざまな教育機会等の働く環境を整備することで従業員の生産性や創造性の向上、働きがいのある職場風土の醸成につなげています。
明電舎は女性活躍の推進が評価され、厚生労働大臣が認定する「えるぼし」認定において、2017年11月に当時、重電業界初となる最高位である三段階目の認定を取得しました。
今後も女性活躍推進法の趣旨に沿った行動計画を策定し、男性の育休取得推進、女性技術系社員の積極的な採用・育成を施策として進めていきます。
明電舎では2019年度、東京地区で勤務する事務・経理などのスタッフ系の女性社員と施工現場で働くプラント建設本部 女性エンジニアとの交流を目的とした現場見学会を開催しました。見学会では、女性エンジニアから現場業務の紹介、女性が施工現場で働く状況や改善点などの話があり、施工状況や当社設備が入っている施設を視察しました。参加者同士の意見交換会も行われ、他部門との交流を図る貴重な機会となりました。
明電エンジニアリングでは2017年度より、管理部を対象に「女性活躍推進として、新しい働き方改革を目指す」を目的とした研修を実施しています。2019年度は「『まずはやってみよう!!』『ワクワクしよう!!』~小さいことから成果を出す~」をテーマに外部講師を招いて育成プログラムを行いました。
明電舎ではダイバーシティ経営推進の取組みとして、2019年度に東京、沼津、太田、名古屋の4地区で「仕事と介護の両立」をテーマとしたセミナーを開催しました。セミナーでは外部講師を招き、介護保険制度や介護サービスなど介護に関する基礎知識が説明されました。また、人事部門より仕事と介護の両立支援に関する社内制度も紹介しました。
沼津地区
明電舎は、2020年4月から全従業員を対象に定年年齢を60歳から65歳に引上げました。これまでは再雇用制度を導入し、希望者は65歳まで単年契約の嘱託社員として勤務していましたが、今後は従業員として65歳まで勤務することになります。また、経験豊富なシニア層によりやりがいを持って働いてもらうため、報酬水準を引上げ、成果によっては60歳時点の報酬とほぼ同水準を可能としています。これまで以上にシニア層の経験・知識を活用することで、後継者育成の促進や品質向上・お客様へのサービス向上を図ります。
また、シニア層の柔軟な働き方に対応するため、子会社(明電マスターパートナーズ(株))を設立し、短日・短時間勤務を希望する従業員については、同社に転籍し当社に派遣社員として勤務できる仕組みを整備しました。従業員のライフスタイルに合わせた勤務や副業も可能となり、多様な働き方を支援することで雇用の確保を図ります。
この他にも、2017年1月からは65歳から最長70歳まで勤務可能な「エルダー制度」を導入しています。65歳以降も職場のニーズに応じて継続勤務できる制度であり、また、一度退職されたOB・OGを再度雇用することも可能としています。今後もシニア層が安心して活躍できる職場環境を整備していきます。
知的障がい者の働く場の創出に向け、特例子会社(明電ユニバーサルサービス(株))を設立し、以降、各地の製造拠点への支店展開等の拡大・拡充を進めて雇用の拡大を図っています。明電ユニバーサルサービス(株)は、2015年に、長年にわたる障がい者の雇用及び職業自立への寄与が認められ「群馬県障害者雇用優良事業所」として群馬県知事表彰を受けました。
明電舎本体としても障がい者の雇用を進めています。2020年度以降も受け入れ職場の拡大を目指し、全社での採用活動を推進していきます。
時点 | 2015年6月 | 2016年6月 | 2017年6月 | 2018年6月 | 2019年6月 |
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障がい者雇用率(%) | 2.19 | 2.27 | 2.24 | 2.24 | 2.42 |
明電グループは、ダイバーシティ推進の一環として、国籍に関係ない採用を進めており、外国籍社員も入社後は、営業、開発・設計など様々な分野で活躍しています。また、日本での生活・業務に早く慣れるよう、様々な支援を行うとともに、個別に育成担当者を選任し、一人ひとりに応じた業務スキルの向上を図るなど、各種支援を実施しています。
2017年度から一部の事業所に礼拝スペースを設け、様々な文化的背景を持つ従業員が働きやすい職場環境の整備に努めています。
明電グループでは、従業員意識調査の実施により、「人員不足」「意識改革」「業務見直し」等といった長時間労働に関連する意見や対策を求める声が非常に多いことを認識するとともに、長時間労働の問題を経営課題として捉えています。そこで、前中期経営計画より「スマートワークV120」として年間総実労働時間削減に向けた取組みをスタートしました。「中期経営計画2020」では「スマートワーク2020」として、「V120」の成果と反省を踏まえた上で、生産革新活動の推進やRPA(Robotic Process Automation)等による業務効率化やテレワーク等を活用し、柔軟な働き方の実現に向けた取組みを強化しています。
80時間/ 月超過者 |
720時間/ 年超過者 |
平均休暇取得 | 平均残業時間 | 年間総実労働時間 | |
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目標値 | ゼロ達成 | ゼロ達成 | 20日/人・年 | 24時間/人・月 | 1,950時間/人 |
2019年度実績※ | ゼロ達成 | ゼロ達成 | 19.1日/人・年 | 26.0時間/人 | 1,991時間/人 |
※休暇、残業、総実労働時間は明電舎と明電エンジニアリングの一人あたり平均
「中期経営計画2020」の中で、働き方改革の実行計画である「スマートワーク2020」を策定し、生産性向上に注力するとともに、働きやすい職場環境の実現に向けた施策を展開しています。
その一環として、2018年9月に、沼津事業所内のサテライトオフィスを拡張しました。
2019年8月には、本社リフレッシュスペース「明電プラザ」を全面リニューアルし、他地区からの出張者がサテライトオフィスとして使用するなど、従業員が様々なシーンで活用できる環境を整備しました。
スペースを大きく4つのエリア(Meeting、Café、Satellite、Skypeエリア)に区分けし、エリア毎に異なる空間を作り、利用者はその日の用途に合わせ活用が可能です。また、個人席を新たに設置し、昼食時には職場の同僚や友人同士はもちろん、一人でも気兼ねなく食事を取ることができます。更には、大型プロジェクター・放送設備を設置し、100名程度のセミナー会場としても利用可能です。また災害時には全社災害対策本部として機能します。
リニューアルした「明電プラザ」。個人でもグループでも活用しやすいレイアウトとしています。
また、2020年3月には、総合研究所ラウンジも全面リニューアルしました。名称も「ラウンジ」から「リラフィス」(リラックス+オフィスの造語)に改名し、従業員がより活用できるスペースに一新しました。
サテライトオフィスとしての利用はもちろん、少人数での打ち合わせや活発な意見交換ができるよう「車座スペース」を設置し、従業員が気分を変えて業務が行えるよう明るく爽やかなスペースにしています。
総合研究所「リラフィス」。これまでよりも多目的に使用できます。
従業員の貢献に対してインセンティブを与え、更なるモチベーションの向上につなげるため、2015年4月より一般職の人事処遇制度を改定しました。本制度では「役割」「貢献度」をバランスさせ、複線型の資格体系で、かつ貢献度に応じて処遇できる制度とすることで、より貢献度の高い従業員に報いる人事処遇を狙いとしています。
また、多様な働き方に対応すべく、役職、一般職とも地域を限定した働き方ができる制度となっています。
1. 目標管理制度 | 透明性の高い評価を実現するためにMAP活動※と連動した目標管理制度を運用しています。 ※明電舎の改革改善活動(MAP = Meiden Advantage Program) |
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2. 自己申告制度 | 従業員の自己啓発やキャリアプランを支援するために自己申告制度を運用しています。 |
3. マイスター制度 | 卓越した技能で貢献する従業員に対し、高度専門職として特別な処遇を行うマイスター制度を運用しています。2008年から2019年までに18名をマイスターとして認定しています。 |
4. ローテーション制度 | 若手社員の育成を目的にローテーション制度を運用しています。 |
入社~「独身寮」~結婚~「家族社宅」~「持家」と、それぞれのライフイベントによる住環境の変化に対応するための社宅貸与制度を整備しています。また転勤者には、その負担軽減のため、社宅貸与に加えて家電レンタル費補助制度などの支援制度をより充実しています。
多様化する従業員のニーズに応えるための制度として、総合福利厚生サービスを導入しています。明電舎独自のサービスとして、宿泊や人気テーマパークチケット、育児・介護等の特定メニューには会社補助を付加するなど、家族旅行やリフレッシュを目的とした余暇を充実させるメニューに加え、仕事との両立支援をサポートするメニューを用意し、制度の更なる充実を目指しています。
それぞれの事業所や拠点毎に、従業員の交流やリフレッシュ、運動不足解消等を目的として、様々な文化・体育行事を企画し開催しています。特にスポーツ・フェスタなどの休日を利用したスポーツイベントは、従業員の家族も交えた交流の場となっており、毎年の恒例行事になっています。また事業所ごとに、文化系・体育系の様々な会社公認サークルがあり、その活動を通して、職場や年代を超えた親睦を深めています。
社内ボウリング大会
サッカー観戦ツアー
明電グループスポーツ・フェスタ
サークル活動(ソフトテニス部)
明電舎は、明電舎労働組合と労働協約を締結し、経営方針や事業概況、従業員の各種労働条件に関し、中央経営者協議会や中央労働懇談会において、定期的に意見交換や協議を実施しています。労使がお互いの立場を尊重し、真摯に話し合うことによって、従業員が安心・安定して働くことができる環境づくりを進めています。
全従業員を対象に、年1回従業員意識調査を実施しています。回答率は毎年95%近い数字となっており、調査に対する従業員の思いの強さが伺えます。調査内容は「ビジョン・経営方針」「モチベーション」「キャリア」「マネジメント」「評価制度」「ダイバーシティ浸透」「労働環境」の7分野からなり、業務や勤務条件、その他会社に関する全般について、従業員が感じていることを統計的に把握する内容となっています。数字の結果だけでなく、自由記述欄に記載された従業員の生の声も参考に、各種施策、取組みの評価を行うとともに、今後の諸施策に役立てています。
また、部門長対象のワークショップを開催し、結果のフィードバックとディスカッションを実施しています。調査結果と意見交換で得た情報を次年度の部門目標設定に反映しています。
単位 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | ||
---|---|---|---|---|---|
従業員数 | 男性 | 名 | 3,240 | 3,294 | 3,367 |
女性 | 名 | 529 | 519 | 557 | |
合計 | 名 | 3,769 | 3,813 | 3,924 | |
連結従業員数※1 | 男性 | 名 | - | - | - |
女性 | 名 | - | - | - | |
合計 | 名 | 8,995 | 9,297 | 9,599 | |
外国人従業員数 | 男性 | 名 | 21 | 16 | 17 |
女性 | 名 | 5 | 7 | 8 | |
合計 | 名 | 26 | 23 | 25 | |
連結外国人従業員数※1 | 名 | 1,730 | 1,923 | 1,974 | |
全従業員に占める契約社員または派遣社員の割合 | % | 12 | 11.8 | 13.7 | |
平均年齢 | 男性 | 歳 | 43.4 | 43.4 | 43.7 |
女性 | 歳 | 43.7 | 44 | 43.7 | |
合計 | 歳 | 43.4 | 43.5 | 43.7 | |
勤続年数 | 男性 | 年 | 18.1 | 18.3 | 18.1 |
女性 | 年 | 19.7 | 20.1 | 19.6 | |
合計 | 年 | 18.3 | 18.6 | 18.3 | |
役職者数※2 | 男性 | 名 | 783 | 797 | 823 |
女性 | 名 | 32 | 33 | 33 | |
外国人 | 名 | 2 | 3 | 3 | |
うち部長以上※2 | 男性 | 名 | 164 | 174 | 171 |
女性 | 名 | 2 | 3 | 3 | |
外国人 | 名 | 0 | 0 | 0 | |
役員※2 | 男性 | 名 | 33 | 34 | 34 |
女性 | 名 | 0 | 0 | 0 | |
外国人 | 名 | 0 | 0 | 0 | |
うち執行役員※2 | 男性 | 名 | 23 | 23 | 24 |
女性 | 名 | 0 | 0 | 0 | |
外国人 | 名 | 0 | 0 | 0 | |
女性比率※2 ※3 | 役職者 | % | 3.92 | 3.96 | 3.84 |
うち部長以上 | % | 1.20 | 1.69 | 1.72 | |
役員 | % | 0 | 0 | 0 | |
うち執行役員 | % | 0 | 0 | 0 | |
障がい者雇用人数※4 ※5 | 名 | 93 | 94 | 103 | |
障がい者雇用率※4 ※5 | % | 2.24 | 2.24 | 2.42 | |
離職者数(自己都合) | 男性 | 名 | 42 | 46 | 65 |
女性 | 名 | 8 | 11 | 11 | |
合計 | 名 | 50 | 57 | 76 | |
離職率(自己都合)※6 ※7 | 男性 | % | - | 1.2% | 1.6% |
女性 | % | - | 0.3% | 0.3% | |
合計 | % | - | 1.5% | 1.9% | |
労働組合加入率 | % | 65.5 | 64.4 | 64.7 | |
平均年間給与※8 | 円 | 7,186,313 | 7,707,752 | 7,528,871 |
男性 | 女性 | 合計 | |
---|---|---|---|
30歳未満 | 632 | 88 | 720 |
30~39 歳 | 644 | 73 | 717 |
40~49 歳 | 802 | 209 | 1,011 |
50~59 歳 | 992 | 163 | 1,155 |
60歳以上 | 297 | 24 | 321 |
大卒 | 短・専門卒 | 高卒・他 | 合計 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | 小計 | ||||
2018年4月入社 | 54 | 11 | 65 | 5 | 27 | 97 |
2019年4月入社 | 60 | 15 | 75 | 5 | 47 | 127 |
2020年4月入社 | 52 | 16 | 68 | 6 | 35 | 109 |
大卒 | 他 | 合計 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | 小計 | 男性 | 女性 | ||
2017.4 - 2018.3 | 29 | 3 | 32 | 2 | 5 | 39 |
2018.4 - 2019.3 | 28 | 4 | 32 | 24 | 7 | 63 |
2019.4 - 2020.3 | 45 | 1 | 46 | 12 | 1 | 59 |
単位 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
産休取得者数 | 名 | 5 | 16 | 12 | ||
育休取得者数※1 | 男性 | 名 | 0 | 1 | 1 | |
1週間以内 | 名 | - | 34 | 43 | ||
女性 | 名 | 15 | 14 | 9 | ||
合計 | 名 | 15 | 49 | 53 | ||
育児休業復職率 | 男性 | % | - | 100 | 100 | |
女性 | % | - | 100 | 100 | ||
合計 | % | 100 | 100 | 100 | ||
介護休業取得者数 | 名 | 3 | 1 | 4 | ||
有給休暇付与日数 | 日 | 23 | 23 | 23 | ||
有給休暇取得日数 | 日 | 14 | 14 | 16 | ||
有給休暇取得率 | % | 61 | 61 | 68 | ||
年間総実労働時間※2 | 時間/年/人 | 2,002 | 2,019 | 1,978 |
単位 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | ||
---|---|---|---|---|---|
フィードバック面談を 受けている従業員の割合 |
男性 | % | 94.1 | 96.5 | 93.7 |
女性 | % | 95.1 | 98.8 | 95.6 | |
合計 | % | 94.2 | 96.9 | 96.9 | |
管理職※ | % | 93.4 | 98.4 | 92.3 | |
一般職員 | % | 94.7 | 96.1 | 94.7 | |
合計 | % | 94.2 | 96.9 | 96.9 |