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水資源

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水リスク評価

水資源

方針

明電グループは、地球環境保全や持続可能な社会の実現に向けて、水資源の効率的利用による水資源保全活動の推進ならびに事業活動に影響を及ぼす水リスク対策に取り組んでいきます。

また、事業を通じて水資源の保全にかかわる様々な社会課題の解決に貢献していきます。

計画・目標

明電グループは、サステナビリティ経営を推進するための中長期的な「環境ビジョン」の中で、「水の循環活用推進」と「水の安全」を掲げています。節水、雨水の有効活用等の効率的利用による水資源保全活動の推進及び渇水、洪水、汚染等の水リスク対策、衛生状態の改善に取り組んでいきます。2024年度の明電グループ環境目標は、国内取水量を前年度比で1%削減する目標を掲げています。

リスク評価

水リスク評価

明電グループでは、節水や排水基準の遵守などの取組みのため、水リスクに関する評価を実施しています。世界自然保護基金が提供している水リスク評価ツール「Water Risk Filter」を用いた生産拠点(9か国、14拠点)を対象とした評価では、国内拠点は一般的なリスク値以内にとどまるものの、海外拠点の半数以上が高リスク地域にあり、特に水量及び水質の確保にかかわるリスクが高いことがわかりました。中でもインド(アンドラ・プラデーシュ)と中国(鄭州)は非常に高いリスクの地域に指定されており、評価結果を踏まえて拠点ごとに最適な対策を実施していきます。

生産拠点が所在する地域の水リスク評価結果

生産拠点が所在する地域の水リスク評価結果
水リスク別の生産拠点割合及び取水量割合(2023年度)
拠点数 拠点割合 取水量
(千m3
取水量割合
非常に高いリスク 2 14% 39 2%
高リスク 4 29% 17 1%
一般的なリスク 7 50% 1,693 96%
低リスク 1 7% 15 1%
非常に低いリスク 0 0% 0 0%
合計 14 100% 1,765 100%

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株式会社明電舎 広報・IR部 広報・IR課

水使用量の削減

実績・データ

取水量の推移(国内)

水源別取水量
2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
地下水(千m3 1,626 1,344 1,728 1,552 1,595
工業用水(千m3 70 87 43 22 27
上水(千m3 63 59 63 69 71
合計(千m3 1,759 1,490 1,834 1,643 1,693

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  • 2021年度に精度向上を目的に測定点を変更したため、2020年度以前と連続性がありません。

拠点別取水量

拠点別取水量

排水量の推移(国内)

各事業所・関係会社では、法規制よりも厳しい自主基準を設定し運用することで、法令遵守を確実なものにしています。

排出先別排水量
排水先 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
淡水の地表水(千m3
河川および湖沼への直接放流
2,189 2,273 2,241 1,421 1,527
汽水の地表水/海水(千m3
海水と淡水の 混合 による低塩分の水(汽水)および海水への直接放流
0 0 0 0 0
地下水(千m3
地下への直接排水
0 0 0 0 0
第三者の放流先(千m3
下水道および産業廃棄物処理業者による排水
17 15 17 20 31
合計(千m3 2,206 2,288 2,258 1,441 1,559

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拠点別排水量

拠点別排水量
水質データの推移(国内)
2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
BOD 4,843 kg 6,424 kg 6,408 kg 4,474 kg 5,344 kg

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株式会社明電舎 広報・IR部 広報・IR課

水資源の保全と有効活用に向けて

取組み

水資源の保全と有効活用に向けて

生産拠点における水インフラ設備の再構築

明電グループは、創業から125年以上が経ち、生産拠点のインフラ設備の老朽化が顕著になっています。

特に水インフラ設備は老朽化が著しく、BCPの観点からも優先順位を上げて再構築を実施しています。

国内主要生産拠点である沼津事業所は、2024年9月から大型合併浄化槽の新設に着工し、併せて給水系統及び工場排水系統の再構築も実施していきます。同じく国内主要生産拠点である名古屋事業所及び太田事業所についても、同様に老朽化が進んでおりますので、順次計画・実施していきます。

【水インフラ設備再構築の概要】

  1. (1)単独浄化槽(22槽)撤廃による浄化槽法に関する努力義務の達成及び排水処理水質の向上
  2. (2)埋設給水配管の地上化による漏洩対策(水使用量の削減)
  3. (3)工場排水系統の雨水との切り離しによる排水処理量・水質の管理強化

事業を通じた水資源保全の取組み

明電グループは日本全国の上下水道の構築と発展に携わってきた実績をもとに、総合水処理メーカーとして水処理プラントの設計・製造・施工だけではなく、運営・維持管理までをトータルでサポートしています。中核事業の一つである水インフラシステム事業を通じて水資源の保全にかかわる様々な課題の解決に貢献していきます。

シンガポール公益事業庁トゥアス水再生センター工業排水MBRプラント向け
世界最大の処理能力97,500m3/日のセラミック平膜を受注

明電舎の海外現地法人 Meiden Singapore Pte. Ltd.(以下、明電シンガポール)は、シンガポール企業である Koh Brothers Building & Civil Engineering Contractor (Pte.) Ltd.より、シンガポール公益事業庁(以下、PUB)のトゥアス水再生センター工業排水 MBR※プラント向けのセラミック平膜を受注しました。このプロジェクトはシンガポール西部に新たに建設される水再生プラントで、2025年完成予定です。

明電シンガポールは、トゥアス水再生センター工業排水MBRプラントに、処理能力 97,500m3 /日のセラミック平膜を供給します。今回納入する明電舎製のセラミック平膜は省エネに貢献できるとともに、高耐久性、耐薬品性に優れ、長寿命という特長を持っています。

  • MBR: Membrane Bioreactor(膜分離活性汚泥法)の略称。下水や工場排水の浄化のために、処理水と活性汚泥の分離を従来の沈殿池のかわりに膜を使用し確実な固液分離を図る方法。

当社は、2010年にPUBと締結した水処理技術の共同開発に関する覚書(MOU)のもと、ジュロン水再生センターにて工業排水処理についての実証研究を進めてきました。2014年にはジュロン水再生センターにおいて 4,550 m3 /日のデモプラントの運転を開始し、これまで再生が困難であった高濃度工業排水の再利用に成功しました。これらの実績と成果が PUBに認められ、今回トゥアス水再生センター工業排水MBRプラント向けセラミック平膜の受注につながりました。

トゥアス水再生センター完成予想図

トゥアス水再生センター完成予想図
©2021 PUB, Singapore’s National Water Agency

シンガポール公益事業庁 チェスナッツアベニュー浄水場向けに
世界最大となる処理能力291,200m3/日のセラミック平膜を受注

明電舎の海外現地法人 Meiden Singapore Pte. Ltd.(以下、明電シンガポール)は、シンガポールの地場企業より、シンガポール公益事業庁(以下、PUB)のチェスナッツアベニュー浄水場・上水用膜処理プラント向けとなる処理能力291,200m3/日のセラミック平膜を受注しました。このプロジェクトは、これまで有機膜が用いられてきた既存浄水設備の更新工事であり、2026 年に完成予定です。

本プロジェクトで納入する当社製のセラミック平膜は、浸漬型膜としての特性を活かして既存水槽へ収納することで、設置コストを最小限に抑えます。また、セラミック平膜がもつ「優れた耐久性」「長寿命」「省エネ」といった特長を活かして、既存の有機膜と比較した際のランニングコスト(メンテナンス・膜交換費用)の節減を含む、高い経済性を実現します。

明電舎では、水の安定供給を国家の課題として抱えているシンガポールをセラミック平膜事業の中核拠点として位置づけており、シンガポール国内の様々な水処理プラントにおいて実証研究を進めてきました。今後も水資源の確保や水の安定供給に向けて協力していくことに加えて、シンガポール政府が取り組む「グローバル・ハイドロ・ハブ構想」への貢献も目指します。

■セラミック平膜について

セラミック平膜 外観
セラミック平膜 外観
セラミック平膜による汚水ろ過のイメージ断面図
セラミック平膜による汚水ろ過のイメージ断面図
  • セラミック平膜には肉眼では視認できないほど細かい穴が無数に開いており、汚水がその穴を通り抜ける際に不純物が濾過されます。
  • 厚さ6mm のセラミック平膜は中空構造となっており、内側の集水管を通して、きれいなろ過水が集められます。

水資源の保全に関する研究開発

限りある水資源は、気候変動とともにグローバルな課題な一つに挙げられます。明電グループでは、持続可能なかたちで水を利用できるよう、世界各地での水問題の解決に貢献するべく、水インフラ事業やセラミック膜事業を展開し、研究開発にも積極的に投資をしています。

水インフラ・セラミック膜事業に関する研究開発費
単位 2021年度 2022年度 2023年度
水インフラ・セラミック膜事業に関する研究開発費 百万円 1,026 1,075 1,035

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リアルタイム感染症動向把握のための下⽔バイオマーカーセンサの開発
~令和6年度国⼟交通省B-DASH(FS調査)に採択~

明電舎は2024年3月に、株式会社⽇⽔コン、ユニアデックス株式会社、三機⼯業株式会社、株式会社NSCテック、国⽴⼤学法⼈東北⼤学、⼤学院⼯学研究科及び仙台市と共同で「令和6年度国⼟交通省B-DASH(FS調査※1)」に応募し、採択されました。

現在、下⽔調査結果を活⽤した感染症動向把握が全世界で⾏われています。しかし、下⽔中のウイルス濃度は⼀般的にごく低濃度であり、検出の際には濃縮、遺伝⼦抽出及び増幅操作が必要です。そのため、感染症動向把握におけるリアルタイム性に⽋けるのが現状です。本研究では、ウイルスよりも⾼濃度で下⽔中に存在する感染症関連タンパク質バイオマーカーのセンサ技術を開発し、IoT技術の融合による下⽔からのリアルタイム感染症情報モニタリングを実現します。

本研究のポイント

  • 「感染症患者を追跡する下⽔バイオマーカーの同定」:
    新型コロナウイルス感染症、季節性インフルエンザ、感染性胃腸炎、RSウイルス感染症を対象として、下⽔中のバイオマーカーの同定に取り組みます。
  • 「下⽔バイオマーカーのリアルタイムモニタリングセンサの開発」:
    下⽔中の感染症関連バイオマーカーを検出するためのバイオセンサの開発に取り組みます。
  • 「下⽔情報リアルタイム共有システムの構築」:
    下⽔バイオマーカーセンサによる感染症関連の検出結果を、下⽔情報共有DXプラットフォーム(令和4年度 内閣府事業※2により構築済み)へ即時表⽰することに取り組みます。
本研究で確⽴を⽬指す感染症適応社会の概念図

本研究で確⽴を⽬指す感染症適応社会の概念図

今後の展開

国⼟交通省では、これまで下⽔情報活⽤のガイドラインを作成するなど、国として下⽔情報の活⽤を推奨してきました。本研究の成果は、従来⼿法と⽐べてリアルタイム性とコスト⾯におけるメリットが⾮常に⼤きく、下⽔情報活⽤の定着と⽔平展開が期待できるものと考えています。当社を含む共同研究体は、今後も下⽔情報の更なる⾼付加価値化を⽬指した研究を推進していきます。

  1. ※1FS調査…実証事業の前段階として、導入効果などを含めた普及可能性の検討や技術性能の確認等を行う調査のこと
  2. ※2⾃治体において下⽔情報有効活⽤する⼿法及び活⽤のための持続的体制に関する実証(令和4年度 内閣官房)

外部との協働

明電グループは、国内外のステークホルダーと連携しながら、SDGs(持続可能な開発目標)における Goal6「安全な水とトイレを世界に」やGoal14「海の豊かさを守ろう」などの課題解決に貢献するものづくりを追求し、持続可能な価値創造を実現するとともに、社会的課題の解決に取り組んでいきます。

イニシアチブへの参画

CDP(Water Security)

イニシアチブへの参画を通じて、水資源の効率的利用による水資源保全活動や事業活動に影響を及ぼす水リスク対策などを推進しています。

CDP Water Securityは、企業の水リスクに関するグローバルな情報開示システムを運営している国際的なNGOで、当社は2017年からCDP Water Securityの質問書へ回答をしています。

2023年に実施されたCDP Water Securityでは当社は「B」の評価を取得しています。

株式会社明電舎 広報・IR部 広報・IR課