サステナビリティ - 気候変動 のページです。
明電舎は1897年の創業以来、ものづくりの会社として様々な技術や製品・サービスを創出し、社会の持続的な発展に貢献してきました。特に太陽光、風力、中小水力など再生可能エネルギーによる発電システムや、スマートグリッドなどのエネルギーソリューションサービスは、脱炭素・低炭素化に大きくかかわりがあります。これら環境対応製品・サービスを通じ、持続可能な社会の実現を目指すとともに、事業活動に伴う温室効果ガス排出の削減に取り組んでいます。
社長が議長を務める「サステナビリティ経営戦略会議」は環境活動の最高決議機関として、気候変動リスクを含めた課題の対応等を審議し、サステナビリティ経営の方向性を決定します。中でも重要な課題に関しては随時、常務会や取締役会等に諮り、トップの意思決定のもと活動を展開しています。
環境負荷削減活動強化のため、インターナルカーボンプライシングの活用やCO2フリー電力の調達(2024年度は沼津事業所、(株)甲府明電舎にて調達率拡大)を実施しています。その効果により、生産は増加したもののScope2の排出量は減少しました。また、電力機器製品の生産増によりSF6ガスの排出増、乾燥炉の使用増はありますが、焼成炉の使用減となった結果、Scope1は全体として減少しました。引き続き省エネ活動の推進、CO2フリー電力の調達拡大、SF6ガスフリー化、乾燥炉の電化等、Scope1,2の排出抑制に努めていきます。
Scope1:直接排出 燃料(都市ガス、油等)の燃焼、温室効果ガス(SF6、フロン等)の放出など
Scope2:間接排出 電力消費に伴う発電(電気事業者)の際の化石燃料の燃焼
明電グループは2024年度に過去最高の売上高を達成し、売上高当たりの原単位が改善しました。
また、国内では明電グループ最大の生産拠点である沼津事業所の再生可能エネルギー導入率を拡大したことにより、CO2排出量が減少しました。
近年では事業活動に伴うCO2排出削減への取組みとして、再生可能エネルギー由来の電力を調達しています。
2019年度以降、非化石証書を活用した電力の調達や再生可能エネルギー由来の電力メニュー購入などを進めています。
2024年度は、関係会社である株式会社エムウインズが保有・運営する、銚子しおさい風力発電所の再生可能エネルギー由来の電力を活用した、オフサイトフィジカルコーポレートPPA※を、4月1日に締結しました。
生産増に伴うScope2増大を抑制するため、再生可能エネルギー由来の電力利用の拡大を進めています。国内の再生可能エネルギー比率は2023年度30%から2024年度は41%となりました。今後自家発、電力購入契約(PPA)、再エネ電力メニュー、再エネ電力証書を活用しながら、国内外の生産拠点の再エネ比率拡大を優先事項として取り組み、2027年度末までに国内生産主要4拠点100%、海外生産全9拠点50%の再エネ導入率を目指します。
2019年度 |
11月 明電舎の総合研究所及び大崎会館にて「トラッキング付非化石証書」を活用し、風力由来のCO2フリー電力を調達 |
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2020年度 |
11月 イームル工業(株)にてCO2フリー電力契約し、使用電力量の100%調達 |
2021年度 |
4月 明電舎の太田事業所にてCO2フリー電力を契約し、使用電力量の100%調達 1月 明電ナノプロセス・イノベーション(株)の技術開発(千葉)にてCO2フリー電力を契約し、使用電力量100%調達 |
2022年度 |
5月 (株)甲府明電舎にてCO2フリー電力を契約し、使用電力量の30%調達 5月 明電興産(株)の本社にて「トラッキング付非化石証書」を活用し、風力由来のCO2フリー電力を調達 |
2023年度 |
7月 明電舎の沼津事業所にてCO2フリー電力を契約し、使用電力量の20%調達 7月 明電舎の本社(ThinkPark Tower)にてCO2フリー電力を契約し、使用電力量の100%調達 |
2024年度 |
4月 ・明電グループの東京地区3拠点(総合研究所、大崎会館、明電興産(株))はCO2フリー電力を使用電力量の100%調達(うち、86%はグリーンベーシックプランを契約、14%はオフサイトフィジカルコーポレートPPAを活用) ・明電舎の沼津事業所は34%、(株)甲府明電舎は44%調達(従来に加え、オフサイトフィジカルコーポレートPPAを14%調達) ・明電舎の太田事業所にて電源群馬水力プランをグリーンベーシックプランに変更し、太陽光発電、風力発電等由来のCO2フリー電力を使用電力量の100%調達 |
2025年度 |
4月 ・(株)甲府明電舎にてグリーンベーシックプランに変更し、太陽光発電、風力発電等由来のCO2フリー電力を使用電力量の100%調達 ・明電舎の名古屋事業所にてCO2フリー電力を契約し、使用電力量の100%調達 ・明電舎の沼津事業所はCO2フリー電力を契約し、使用電力量の60%調達(うち、グリーンベーシックプラン46%、オフサイトフィジカルコーポレートPPA14%を活用) |
明電舎と株式会社エムウインズ及び東京電力エナジーパートナー株式会社(以下、東京電力EP)は、明電舎の100%子会社であるエムウインズが保有・運営する「銚子しおさい風力発電所(以下、本発電所)」の再生可能エネルギー由来の電力(以下、再エネ電力※1)を活用した、オフサイトフィジカルコーポレートPPA(以下、本PPA)を、2024年4月1日に締結しました。
本PPAに基づき、明電グループの5つの事業拠点において使用する電力の一部が、本発電所由来の再エネ電力となりました。(2024年4月時点)
本発電所は、2003年12月の運転開始から20年以上が経過し、FIT期間(2012年10月~2024年3月)を満了しましたが、明電グループにて保有する風力発電所の価値を最大限活用し企業価値向上につなげるため、このたび、3社にて本PPAを締結しました。
なお、卒FITの風力発電所を活用したPPAは、3社にとって初めての試みとなります。
1.本PPAの概要
従来、本発電所を活用した再エネ電力については、東京電力EPがトラッキング付FIT非化石証書※2を活用した「グリーンベーシックプラン※3」により、明電グループの東京地区3拠点(総合研究所・大崎会館・明興ビル)へ環境価値のみが提供されていました。
このPPA締結により、東京電力EPがこれまで提供してきた「グリーンベーシックプラン」に加え、明電舎沼津事業所及び株式会社甲府明電舎(以下、甲府明電舎)の2拠点を加えた5拠点へ、本発電所で発電した電力と環境価値の両方が供給されることとなりました。また、明電グループにおいては、本PPAを活用することにより、燃料価格の変動等に関わらず一部の電力調達にかかるコストを安定化できる利点があります。
2024年5月16日
インターナルカーボンプライシングとは、社内で炭素価格を設定し、温室効果ガス排出量を費用換算することにより、CO2削減効果が大きい設備投資を推進する仕組みです。
明電舎では2021年4月からインターナルカーボンプライシング制度を導入して設備投資計画に伴う排出量を内部炭素価格で費用換算し、投資判断材料の一つにしています。当初、内部炭素価格を3,000円/t-CO2としていましたが、環境省のガイドライン及びIEAの1.5℃シナリオの炭素価格を考慮して、2023年度の設備投資より15,000円/t-CO2へ引き上げました。今後も設備導入の投資判断において、安全性、生産性とあわせて環境負荷低減を考慮した投資判断をすることで、更なる事業活動における温室効果ガス排出量削減を推進していきます。
2024年度は10件の適⽤事例がありました。例として、総合研究所の空調設備更新や本社の照明LED化等、より高いCO2削減効果が⾒込まれる設備導入を実施しました。
インターナルカーボンプライシング対象設備(2024年度) | 387(百万円) |
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インターナルカーボンプライシングによる削減効果(2024年度) | 574(t-CO2) |
明電グループではエネルギー消費に起因する温室効果ガス排出を削減するために、インターナルカーボンプライシングを導入し、照明や空調設備を高効率なものに更新するなど、計画的に設備投資をしています。また、電力消費量の見える化を進めて設備の運用改善に取り組み、特に休日や深夜帯の待機電力をカットするなど、消費電力の管理を徹底しています。エネルギー使用効率の向上及び節電・省エネ意識の拡大、エネルギーコスト削減を目的に、各事業所、ユニット単位で節電に取り組み、デジタルサイネージで使用電力削減率の節電ランキングを社内公開して、省エネに対する意識を醸成しています。
明電グループにおけるCO2以外に排出する温室効果ガスには、遮断器等に使用するSF6ガス、空調機器の冷媒に使われているフロン類などがあります。
2024年度は、遮断器等の生産増加に伴い、SF6ガス排出量が高止まりとなりました。今後も排出抑制に努め、SF6ガスの代替に関する技術的な調査・検証に取り組んでいきます。また、フロン排出抑制のため、空調機器の管理強化と設備更新を進めていきます。
運輸部門では、鉄道コンテナの活用やトレーラー輸送から近場の港からの船便輸送に変更するなど、混載やモーダルシフト、輸送の効率化を進めることで、CO2排出量の削減に取り組んでいます。
明電舎の事業活動のみならず、サプライチェーンの上流や下流における間接的な排出を含む温室効果ガス排出量の算定に取り組んでいます。
当社の場合、「販売した製品の使用」(Scope3カテゴリ11)及び「購入した製品・サービス」(Scope3カテゴリ1)の排出割合が大きいという課題があります。製品の環境配慮設計による下流の排出削減や、グリーン調達による上流の負荷軽減など、サプライチェーン全体を通じた環境対策を推進しています。
明電グループでは、GHGプロトコルや、環境省・経産省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」等を参考に算定しています。
なお、2025年度より開始した新たな中長期環境目標「第三次明電環境ビジョン」策定にあたり、Scope3算定方法を見直しました。新たにカテゴリ9,10,15を算定対象として追加、その他カテゴリについても算定方法を一部変更しました。
よって、2023年度以前に公開していた値とは直接の比較ができませんが、今後この算定方式でトレースし、必要に応じて随時見直していく予定です。