明電グループは、「環境ビジョン」に基づき、「自然共生社会の実現」を目指し、事業活動を通じた環境負荷低減及び生物多様性を含む自然資本の保全に取り組んでいます。
2022年に「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択されるなど、ネイチャーポジティブの実現に向けた国際的な動きが進展する中、企業活動における自然資本への依存及び影響の把握と開示の重要性が高まっています。
製造業である明電グループは、原材料調達や製造工程における取水・排水などを通じて自然資本と関わりながら事業を展開しています。特に水資源は、製造活動及び水関連事業の双方に関係する重要な自然資本の一つであると認識しています。気候変動や地域水資源の変化により、水ストレスの高まりや洪水などのリスクが顕在化した場合、生産拠点の操業や取水コストに影響を及ぼす可能性があります。
生産拠点では、地下水・工業用水・上水などを工程に利用しており、拠点ごとの取水量管理や節水活動、水関連設備の更新などを通じて、水資源の効率的利用に取り組んでいます。2026年度環境目標においては、国内主要生産4拠点※における取水量を2023年度比で5%削減することを掲げています。
一方で、グループ横断での水資源に関する包括的な管理指標や長期目標については、自然関連評価及び必要なデータ整備が途上であることから、現時点では策定していません。現在、主要拠点における取水量や取水源の内訳などの把握を進めており、今後の評価結果を踏まえ、管理指標及び目標設定の在り方を検討していきます。
また、当社は上下水道、工業用水、水処理設備の設計・製造・施工・運営・維持管理に至るまで幅広い水関連事業を展開しており、水循環の維持・改善に資する製品・サービスを提供しています。水関連事業はグループ売上の一定割合を占めており、水資源に関する社会的課題の高まりは、リスクであると同時に事業機会にもなり得ると認識しています。
このような状況を踏まえ、当社はTNFD提言に基づき、水資源を優先的な検討対象とし、自然資本への依存及び事業活動が与える影響の整理を進めました。今後は、評価結果、重要性及びデータ整備状況を踏まえ、評価対象範囲の拡大要否及びリスク・機会の分析高度化について段階的に検討し、既存の中期経営計画及び環境ビジョンとの整合を図っていきます。
引き続き、GHG排出削減、資源循環、化学物質管理、環境配慮設計などの取組みを通じて環境負荷低減を推進するとともに、自然関連課題への対応を経営の重要テーマの一つとして位置付けていきます。
本報告は、TNFD提言における一般要件及び「ガバナンス」「戦略」「リスクとインパクトの管理」「指標及び目標」の4つの柱に沿って構成しています。
(1)開示基準の考え方
当社は、TCFD提言に基づく気候関連情報開示を基盤とし、これまでのサステナビリティ開示方針との整合を図りながら、TNFD提言に沿って自然関連情報を開示します。
本開示にあたっては、TNFDが示す一般要件及び4つの柱に基づき、既存のリスク管理及び意思決定プロセスとの整合性を重視して情報を整理しています。
また、自然関連情報の開示については、当社の評価体制やデータ整備状況を踏まえ、初年度は直接操業拠点を中心に整理・開示を行い、今後、バリューチェーンへの対象範囲の拡大や評価手法の高度化を段階的に進める方針です。
当社のサステナビリティ情報開示は、ステークホルダーへの説明責任を踏まえた統合的な情報提供を基本としており、既存開示との一貫性を確保しつつ、必要に応じて開示内容の充実を図っていきます。
現時点では、自然関連リスク及び機会について評価・特定を進めている段階であり、財務影響の定量化や全社リスク管理への統合については今後の課題と認識しています。
(2)マテリアリティの適用
当社は、企業価値及び将来見通しに影響を与える可能性のある自然関連のリスク及び機会を中心に整理しています。
また、TNFDが示すLEAPアプローチを参照し、事業活動における自然資本への依存及び影響について整理しています。これらの結果は、自然関連のリスク及び機会を特定・評価するための基礎情報として活用しています。
更に、現時点では財務的影響の程度を十分に把握できていない事項についても、将来的に財務影響へつながる可能性を考慮し、今後の評価の中で継続的に確認します。
(1)評価対象
本開示の報告主体は、明電グループの連結対象会社としています。
初年度の自然関連評価は、直接操業拠点を対象として実施しました。このうち、取水量などの環境データ、事業上の重要性及び地域特性を踏まえ、国内主要生産4拠点について詳細な確認を実施しています。
海外の直接操業拠点については、外部データを活用した一次スクリーニングを実施しています。
また、上流及び下流バリューチェーンについては、データの入手可能性及び評価手法上の制約から、初年度は詳細評価の対象外としています。今後は、重要性、データ整備状況及び評価の実行可能性を踏まえ、対象範囲の拡張要否を段階的に検討します。
(2)範囲決定プロセス及び除外理由
社外専門家とのスコーピングを実施し、2025年度の開示範囲を決定しました。
上流バリューチェーンについては、原材料の最上流までのトレーサビリティが限定的であり、調達品目も多岐にわたることから、自然資本への依存・影響を網羅的に把握することが困難であるため、初年度は評価対象外としています。
また、 下流バリューチェーンについては、製品用途や使用環境が多様であり、自然資本への依存・影響を標準化して評価することが困難であるため、現時点では対象外としています。
(3)今後の拡張方針
上流バリューチェーンについては、SBTN※が示すHigh Impact Commodity Listや当社の調達上の重要性を踏まえ、次年度以降、直接サプライヤーを対象として、銅、アルミニウム及びパーム油を優先的な情報把握・分析対象として検討します。
保護地域データベースなどを用いて保護地域との近接性を分析し、自然関連課題の影響が想定される地域を抽出しました。
自然資本への依存・影響、リスク・機会の評価結果と重ね合わせることで、優先的に検討すべき地域を特定しています。
本分析では、外部ツールを用いた一次スクリーニングにより、自然資本との関係性や地域特性の把握を行い、その結果を自社の操業実態とあわせて総合的に評価しています。
表 分析に使用した外部ツール
当社は、自然関連リスク・機会を、気候変動をはじめとする他のサステナビリティ関連事項と同様に重要な経営課題の一つとして認識しています。
自然関連事項については、既存の全社リスク管理及びサステナビリティ経営の枠組みの中で取り扱うことを基本としています。
また、気候変動は水資源や生態系に影響を与える可能性があることから、自然関連課題と相互に関係していると認識しています。
今後は、評価結果の蓄積に応じて、経営判断及び戦略への反映について段階的に整理していきます。
本報告では以下の期間区分を採用しています。
本報告における時間軸は、当社の経営計画及び環境施策の検討期間に加え、自然関連課題が中長期にわたり顕在化する可能性ならびに2030年及び2050年を目標年とする国際的な自然関連目標を参考に設定しています。
短期については、第三次明電環境ビジョンにおける温室効果ガス排出量削減目標の達成時期であることに加え、昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)が掲げる2030年ミッションを意識した期間としています。
長期については、GBFが示す2050年ビジョン「自然との共生」の達成時期を見据えた期間として設定しています。
また、自然関連課題は気候変動と相互に関連しつつも、生態系の変化や資源制約などの影響が中長期的に顕在化する特性を有することから、中期を設定し分析を行っています。
そのため、本報告ではTCFDとは異なる時間軸を設定し、リスク及び機会の分析を行っています。
ステークホルダー・エンゲージメント
「明電グループ人権方針」に基づき、事業活動及びサプライチェーンにおける人権リスクの特定、予防及び軽減に取り組んでいます。
また、「明電グループサステナブル調達ガイドライン」に基づき、取引先に対しても環境課題を含むサステナビリティへの配慮を求めています。
自然関連課題については、初年度の評価対象である直接操業拠点を中心に、事業活動が自然環境及び地域社会へ及ぼす影響にも配慮しています。
現時点では、既存の人権及び環境管理の枠組みに基づき把握している情報を参考にしながら、自然関連課題への対応を進めています。今後は、自然関連評価の進展に応じて、地域コミュニティなどへの配慮の在り方について整理していきます。
自然関連事項については、既存のサステナビリティ経営及び全社リスクマネジメントの枠組みの中で取り扱うことを基本としています。評価の高度化にあわせて、当該枠組みの中での位置付け及び取締役会への報告内容の整理を進めていきます。
今後、TNFDフレームワークに基づく自然関連の依存及び影響評価の高度化にあわせて、既存のサステナビリティ経営及び全社リスクマネジメントの枠組みにおける位置付けや、経営層・取締役会への報告内容について整理していきます。また、分析結果の経営判断への活用方法について段階的に検討していきます。
(1)特定(Identify)
自然関連の依存及びインパクト、リスク・機会の抽出は、サステナビリティ推進部が中心となり、関連部門と連携して実施しています。
当社では、サステナビリティ全体に関するリスク抽出プロセスを既に構築しており、気候変動リスクの特定に用いている手法を自然関連課題にも適用しています。
初年度は、LEAPアプローチを参照しつつ(主にLocate及びEvaluateを中心に適用し)、直接操業拠点を中心に自然資本との関係性(依存・影響)を整理しました。
自然関連課題の把握にあたっては、TNFDのLEAPアプローチを参照し、AqueductやWWFなどの外部ツールを用いて、各拠点が立地する地域の水リスクや自然・生物多様性に関する状況を一次的に確認しました。
これらの結果は、あくまで外部データに基づく一次的なスクリーニング結果として位置付けています。そのうえで、拠点ごとの取水量の規模や事業上の重要性などの操業実態を確認し、ツール結果の解釈に活用しています。
最終的には、ツールによるスクリーニング結果と自社の操業実態を踏まえ、今後詳細な検討が必要な領域を整理しています。
(2)評価(Assess)
本章では、LEAPアプローチを通じて把握した依存・インパクトの結果を踏まえ、当社に関連して想定される自然関連リスク及び機会を整理しています。
自然関連リスクについては、事業継続性及び財務への潜在的な影響を考慮しながら整理しています。各リスクについては、想定される発現時期及び事業への影響の大きさを参考情報として付記しています。なお、発生可能性と影響度を組み合わせた評価、リスクの優先順位付け、財務影響の定量化及び自然関連シナリオ分析は実施していません。
(3)優先順位付け(Prioritize)
自然関連事項については、既存の全社リスクマネジメント及び環境管理の枠組みの中で取り扱うことを基本としています。
自然関連リスクの評価結果については、事業上の重要性や発生可能性などを踏まえ、全社的な重要リスクとして位置付ける必要がある事項を、社長を委員長とするリスクマネジメント委員会において審議します。
各事業所における環境施策及び対応状況については、環境委員会において進捗を確認し、必要に応じて改善を図ります。
今後、自然関連の評価結果の高度化にあわせて、全社リスクマネジメントにおける位置付け及び経営層・取締役会への報告内容を整理していきます。
(4)バリューチェーンの扱い
直接操業拠点については評価対象としています。
上流及び下流のバリューチェーンについては、トレーサビリティ及び影響把握の制約から、初年度は依存・影響評価の対象外としています。今後は、重要調達品目を起点として、自然関連の依存・影響を把握するための情報収集方法及び分析手法の整備を段階的に検討します。
明電グループは、TNFDが推奨するLEAPアプローチ(Locate, Evaluate, Assess, Prepare)を参照し、自然関連の依存・影響を把握するとともに、それらに関連する自然関連リスク及び機会の整理を実施しました。初年度は、明電グループの直接操業拠点を対象に、製造工程を中心とした自然資本との関係性の把握を進めました。
国内主要4生産拠点については、取水量などの環境データ、事業上の重要性及び地域特性を踏まえ、優先的に詳細な確認を実施しました。また、海外の直接操業拠点については、外部データを活用した一次スクリーニングを実施し、水リスクなどの地域特性を確認しました。
なお、上流・下流バリューチェーンについては、初年度は評価対象外としており、今後は重要性、データ整備状況及び評価の実行可能性を踏まえ、対象範囲の拡張要否を段階的に検討していきます。
(1) 生態学的に重要な地域との空間的近接性評価(Locate)
本報告における「自然との接点」とは、保護地域、KBA(Key Biodiversity Areas)、ラムサール条約登録地などの生態学的に重要な地域との空間的近接性を指します。
Protected Planet※などのデータベースを用いて、各拠点周辺の保全重要度及び近接距離を把握しました。なお、日本国内におけるIUCNデータの網羅性には限界があるため、国内指定保護区データも補完的に活用しています。
近接性の判定にあたっては、各拠点と保全重要地域との位置関係及び距離を確認し、自然との近接状況を整理しました。
表 国内主要生産4拠点と保護地域の距離
表 国内主要生産4拠点とラムサール条約湿地の距離
表 国内主要生産4拠点とユネスコエコパークの距離
表 国内主要生産4拠点とジオパークの距離
(2)優先地域の特定(Priority Locations)
上記の分析結果を統合し、自然資本への依存・影響に関する評価結果、保護地域及びKBAなどの保全重要地域との近接性、取水量などの定量情報を踏まえ、生産拠点の中から優先的に詳細確認を行う拠点を識別しました。
その結果、国内の主要生産拠点である沼津、太田、名古屋及び甲府について自然資本への依存・影響、保全重要地域との近接性、取水量などの環境データ及び事業上の重要性を踏まえ、優先的な詳細確認の対象として整理しました。これらの拠点は明電グループの主要生産拠点であり、特に沼津事業所は売上及び利益への貢献度が高いことから、自然関連課題が事業活動へ与える影響について継続的に確認していきます。
表 まとめ
(3)セクター別依存・影響のスクリーニング(Evaluate)
明電グループの主な製品・サービスを、事業内容に応じてISIC産業分類に対応付け、ENCORE(v4.0、2024年10月時点)を用いて、直接操業における自然資本への依存及び影響を5段階(Very High~Very Low)で整理しました。
評価結果は、対応する主な製品・サービスの評価を4事業部門に集約して表示しています。4事業部門への集約にあたっては、各事業部門に含まれる主な製品・サービスの評価結果を、集約ルールに基づき整理しています。
表 自然資本への依存と影響
その結果、自然資本への依存では、「水供給」「水質浄化」「洪水緩和・暴風雨緩和・水流調整」が複数の事業部門で共通してMediumと評価されました。影響では「水や土壌への有害汚染物質の排出」が電力インフラ、社会システム及びフィールドエンジニアリングでHighとなりました。一方、今回の整理では、自然資本への依存・影響が極めて高い(Very High)と評価される項目は確認されていません。
なお、ENCOREは、産業活動一般における自然資本への依存・影響の可能性を把握するための外部ツールです。本分析では、当社の事業活動において重点的に確認すべき依存・影響の項目を把握するための一次スクリーニングとして活用しています。したがって、本結果は個別製品や拠点における実際の環境負荷や財務影響を直接示すものではありません。
これらの結果は、後続の水リスク評価や優先地域の特定における基礎情報として活用しています。
また、当社の事業特性との整合性を確認したうえで、水資源に関する依存及び影響を優先的な検討対象と判断しました。水資源への依存については、拠点ごとの取水量管理、節水活動及び水関連設備の更新などを通じて、水資源の効率的な利用に取り組んでいます。
また、水・土壌への有害汚染物質の排出に関する影響については、化学物質管理及び排出管理体制のもと、法令遵守を前提に管理を行っています。
(4)物理的水リスク及び生物多様性に関する一次スクリーニング(Assess)
国内外の主要拠点について、World Resources Instituteが提供するAqueduct Water Risk Atlas (version 4.0)を用い、洪水、水ストレス、規制リスクなどを含む複数の水リスク指標を一次スクリーニングとして評価しました。
図はAqueductにおける「Overall Water Risk(総合水リスク)」スコアの分布を示したものであり、Low(0–1)からExtremely High(4–5)までの5段階で色分けされています。各拠点の位置を重ねることで、拠点が立地する地域の相対的な水リスク水準を把握しています。

なお、総合水リスクスコアがHigh(3.0以上)に該当する拠点を下表に示します。
表 Aqueduct Water Risk Atlasによる水リスク評価結果(High以上の拠点)
| 拠点名 | 所在国・地域 | 総合水リスクスコア | 評価区分 |
|---|---|---|---|
| MEIDEN INDIA PRIVATE LIMITED | インド | 4 | high |
| MEIDEN T&D (INDIA) LIMITED | インド | 4 | high |
| PT. MEIDEN ENGINEERING INDONESIA | インドネシア | 4 | high |
| MEIDENSHA (SHANGHAI) CORPORATE MANAGEMENT CO., LTD. | 中国 | 3 | high |
| MEIDEN ZHENGZHOU ELECTRIC CO., LTD. | 中国 | 3 | high |
| VIETSTAR MEIDEN CORPORATION | ベトナム | 3 | high |
なお、上表は、Aqueductによる一次スクリーニングの評価対象とした国内外の拠点のうち、総合水リスクスコアがHigh(3.0以上)に該当した拠点を示しています。このうち海外生産拠点では、中国(鄭州)、インド(ティルパティ地区)及びベトナム(ビンズオン省)が該当しており、相対的に高い水リスクを有する地域として整理しています。
一方で、一部拠点では排水データを取得していない項目があるなど、現時点では評価に必要な情報が十分に整備されていない部分があります。
評価は海外拠点を含む明電グループの各拠点を対象に実施していますが、初年度の開示では国内主要生産4拠点を中心に詳細な整理を行い、海外生産拠点については、一次スクリーニング結果の確認にとどめています。
今後、データ取得体制の整備を進めるとともに、継続的なモニタリングを通じて海外生産拠点における分析及び開示内容の高度化を図ります。
また、生物多様性に関する評価では、WWF Biodiversity Risk Filterを活用し、拠点周辺の生態系の劣化リスクや水関連リスクなどに関する外部情報を確認しました。
これは、個別拠点が生物多様性に与える影響を直接評価するものではなく、自然との接点や追加確認の必要性を把握するための一次スクリーニングです。
(5)今後の高度化
2025年度は、直接操業を中心とした一次スクリーニングを実施しました。今後は、優先地域の判定基準や上流バリューチェーンに関する評価の在り方について検討を進めるとともに、自然関連リスク・機会が事業及び財務に与える影響について、段階的に整理・分析を進めていきます。
明電グループは、Locate及びEvaluateの分析結果を踏まえ、自然資本への依存(給水、洪水緩和など)及び影響(水・土壌への汚染負荷)を把握するとともに、それらに関連するリスク及び機会を整理しました。
本整理では、各リスクについて、想定される発現時期(短期:2030年まで、中期:2040年頃、長期:2050年頃)及び事業への影響の大きさを、定性的な参考情報として記載しています。また、影響度は、事業継続性、生産活動及びコストへの影響を踏まえた定性的な参考情報として整理しています。
なお、発生可能性と影響度を組み合わせたリスク評価、優先順位付け及び財務影響の定量化は実施していません。
(1)急性リスク(想定される発現時期:短期~中期/影響度:中~高)
洪水や豪雨などの極端気象の頻発は、製造拠点の操業停止や設備損傷を引き起こす可能性があります。
特に水関連依存度の高い拠点では、生産停止による売上減少及び復旧費用増加の影響が想定されます。
(2)慢性リスク(想定される発現時期:中期~長期/影響度:中)
水ストレスの高まりにより、利用可能水量の制限や取水コストの上昇が発生する可能性があります。
Evaluateで確認された高水リスク地域の拠点については、操業継続性への影響をモニタリング対象としています。
(1)政策・規制(想定される発現時期:中期/影響度:中)
水利用規制、排水基準強化、生物多様性保全義務の拡大により、設備投資や運用コストが増加する可能性があります。
(2)市場(想定される発現時期:短期~中期/影響度:中)
環境負荷低減への顧客要求の高度化により、製品の環境性能が受注競争力に影響を与える可能性があります。
機会の整理にあたっては、Evaluate段階で把握した自然資本への依存・影響を踏まえ、自然関連課題への対応ニーズと当社事業との関係を整理しています。
(1)水関連インフラ事業(中期~長期)
水資源管理、水処理高度化、洪水対策などへの需要拡大は、当社の既存技術・事業基盤を活用できる事業機会となり得ます。
(2)環境対応製品の高度化
水使用量の削減、資源利用の効率化、汚染負荷の低減などに寄与する環境対応製品・技術は、顧客の自然・環境関連課題への対応ニーズの高まりを背景に、事業機会となり得ます。
なお、個別製品に関しては、原材料調達段階での自然資本への影響(例:金属資源採掘)とのトレードオフが存在する可能性を認識しており、今後ライフサイクル視点での評価を高度化していきます。
2025年度は、主として定性的な評価及び外部データを活用した一次スクリーニングに基づき、自然関連の依存・影響・リスク・機会を整理しました。
今後は、以下の観点から評価の高度化を進めます。
また、分析対象及び評価手法を段階的に拡充するとともに、分析結果の経営判断への活用方法について検討していきます。
TNFDが示すグローバル中核指標を踏まえ、当社が現在把握・管理している主要な環境指標のうち、自然関連の依存・影響との関連性がある指標を整理しています。
2025年度は、既存の環境指標を中心に整理しました。今後は、分析対象の拡大や評価の深化を踏まえ、自然関連の指標・目標について段階的に検討していきます。
ENCOREによる一次スクリーニングでは、「水や土壌への有害汚染物質の排出」が自然資本への影響項目として確認されました。当社では、これに関連する指標として、従来よりPRTR関連指標などを継続的に管理しています。
これらの指標については、国内外の連結対象拠点において継続的に管理し、法令遵守を前提に、排出抑制や再資源化に取り組んでいます。
LEAP分析では、水供給などの水関連項目が自然資本への依存項目として確認されました。当社では、これに関連する指標として、従来より以下の水関連指標を継続的に管理しています。
2025年度環境目標として、国内主要生産4拠点における取水量を2023年度比3%削減する目標を設定しました。実績としては3.4%の削減となりました。
また、Aqueductによる一次スクリーニングでは、海外生産拠点の一部で総合水リスクスコアがHigh(3.0以上)に該当する地域[中国(鄭州)、インド(ティルパティ地区)、ベトナム(ビンズオン省)]が確認されています。海外生産拠点については、今後、一次スクリーニングの結果を踏まえて分析を進め、地域特性や水リスクを踏まえた管理指標・目標設定の在り方を検討していきます。
気候変動と自然は相互に関連することから、当社が気候変動対応として管理しているGHG排出量についても、関連指標として掲載しています。
表 主な環境指標・目標
TNFDグローバル中核指標との対応を踏まえ、当社が現在把握・管理している主要な環境指標を掲載しています。
本表に記載した指標は、原則として明電舎及び連結対象の国内外グループ会社を対象に集計しています。
TNFDグローバル中核指標との関連付けにあたっては、当社が従来より管理している環境データを活用しており、法令に基づく報告値、温室効果ガス排出量の算定値、社内環境管理システムに基づく実測値などを基礎として集計しています。なお、一部の指標には推計値を含みます。
現時点では、既存の環境指標を活用して自然関連の指標・目標を整理しています。
今後は、優先地域における管理指標の高度化や、生物多様性を含む自然関連指標・目標の在り方について段階的に検討するとともに、自然関連リスク・機会が事業及び財務に与える影響について検討を進めます。
2026年度の初回開示に向け、2025年度にLEAPアプローチを参照した直接操業拠点の一次スクリーニングを実施し、自然資本への依存・影響及び自然関連リスク・機会の整理を行いました。
現時点では、LEAP分析結果を直接反映した新たな独立戦略は策定していませんが、既存の中期経営計画及び環境ビジョンの施策は、以下の観点から自然関連課題への対応と整合していると評価しています。
一方で、LEAP分析を通じて以下の課題を認識しています。
これらを踏まえ、今後の高度化に向けた主な検討の方向性を以下に示します。
当面の高度化
中長期的な高度化
今後は、対象や評価方法の高度化を進めながら、分析結果の経営判断への活用方法について検討していきます。